今回は、日本に存在する「酷道」について解説します。
「国道じゃなくて酷道?」などに関する疑問にお答えし、厳しい道路での運転術や、酷道向きのトラックを探しているトラック運転手の方に有用な情報を提供します。
目次
■酷道(こくどう)とは?
皆さん、酷道(こくどう)についてどれほどご存知でしょうか?
酷道という言葉を聞いただけでは、国道と混同してしまいそうですが、実際には「悪路や走行が難しい道路」を指す俗語です。
酷道は俗語で、一般国道だが普通乗用車での通行が難しい道を指しています。
酷道は国道が通っていなかった自治体からの申請を受けて、国道に昇格した道路も多く含まれています。
酷道は国が管理しており、これらの道路はもともと山間部などで交通量が少ないため、整備が後回しにされていたものが多いのです。整備が行われていないため、落石や路肩の崩壊などが頻繁に発生し、酷道と呼ばれるようになりました。
■酷道の特徴
ブラインドカーブと視界の制約
道路にはブラインドカーブが多く、前方の見通しが悪いため、対向車両との危険な遭遇が高まります。また、山間部のため、昼間でも日光が遮られ、道路が薄暗いことがあります。
路面状況の悪さ
道路の路面が悪い場合や、ガードレールの欠如、断崖のような危険な場所、オフロードや未整備な道路の区間があります。
非適切なエリア
住宅地の路地や商店街、明らかに自動車の通行には適さないエリアも指定されていることがあり、歩行者専用の区間も存在します。
道幅とすれ違い困難
道路が非常に狭く、対向車両が接触を避ける余裕がほとんどない場合があります。
雨による制約
雨量が20ミリ以上に達すると通行が制約される場所が存在します。
地盤の安定性に関する危険性
雨の際に地盤が緩み、土砂崩れや道路崩壊の危険性が高いため、通行止め規制が敷かれることがあります。
通行不能な区間
道路が全線開通していないか、歴史的な理由から遊歩道や階段として整備され、自動車や軽車両が通行できない場合もあります。さらに、歩行者ですら通行が難しい場合もあります。
季節による制約
積雪のある地域では、通年で通行できない季節に冬季閉鎖規制がかけられることがあります。
設備不足
これらの道路は一般的に人里を離れた山間部に位置し、コンビニエンスストア、ガソリンスタンド、自動販売機などの施設が少ないことが一般的です。
不正確な地図情報
山間部では正確な地理情報が入手困難な場合があり、過去の資料をもとにした不正確な地図が作成されることもあります。
管理の不足
道路の側面に雑草が生い茂っており、長期間にわたり適切にメンテナンスされていない場所もあります。
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■日本三大酷道(国道439号・425号・418号)
日本国内には多くの酷道が存在しますが、その中でも以下の3つの国道は「三大酷道」と呼ばれています。
■日本三大酷道
・国道439号
徳島県徳島市から高知県四万十市に至る一般国道
・国道425号
三重県尾鷲市から和歌山県御坊市に至る一般国道
・国道418号
福井県大野市から長野県飯田市に至る一般国道
これらは酷道マニアの間でも有名な酷道です。
ここからは安全第一を大前提に、それぞれの特徴を解説します。
日本三大酷道1:国道439号
国道439号線は通称「ヨサク」と呼ばれていて、徳島県徳島市が起点で高知県四万十市が終点になっている国道。
総距離が348.3キロメートルで、四国の国道では第2位を誇る長大路線です。
テレビや雑誌などで紹介されたこともある有名な国道ですが、道幅は僅か2.5メートル程度と、乗用車1台分しかありません。
京柱峠など整備されていない状態の峠を越える国道439号。
苔や落ち葉が道を覆っている状態はザラで、脆く崩れやすい崖もあります。さらには、土砂崩れで通行止めになっている場所も突然現れたり、日本三大酷道の名前に恥じない酷道っぷりを披露しています。
日本三大酷道2:国道425号
続いては国道425号線、通称「シニゴー」。
三重県尾鷲市を起点とし和歌山県御坊市が終点の国道。
紀伊半島の中でも最凶の呼び声が高い酷道です。
山の中をこじ開けたようなジグザグの道路で、牛廻越などほぼ全線(194.3キロメートル)が難所です。
道幅はかなり細くガードレールも設置されていません。
また、落石や路肩崩落などの災害が多く、和歌山県御坊市から和歌山県田辺市にかけては整備がほとんど進んでいない状態です。
その反面、近くに温泉があり車通りも多く、観光客が転落事故に遭われた例もあるようです。
注意を促す転落や危険の看板を見かけたら、安全意識をより一層高めてください。
日本三大酷道2:国道418号
最後を飾るのは国道418号線。
福井県大野市を起点に長野県飯田市を終点にした国道。
国道157号線と重複する区間の温見峠や尾並坂峠、平谷峠や売木峠などさまざまな峠を越えていきます。
ヨサクやシニゴーと言った通称はありませんが、「キング・オブ・酷道」という別名で危険視されています。
「酷道マニアなら一度は訪れたい」と言われる、まさに酷道界の巨匠です。
国道418号線ですが、恵那や八百津間に通行止め区間があり事実上の廃道になっています。
通行止め区間前後の道路もとても細く、通行が非常に困難なので、酷道向けのトラックでもオススメしにくい酷道です。
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■全国の酷道10選
先ほどは日本三大酷道をご紹介しましたが、国内にはまだまだ酷道は存在します。
以下では三大酷道に入りきらなかった酷道を、道路状況やオンライン上で共有される口コミや個人の体験に基づいて発表していきます。
以下では、他にも挙げられる困難な道路を紹介します。このランキングは、道路状況やオンライン上で共有される口コミや個人の体験に基づいて、走行の難易度を評価しています。先ほどは日本三大酷道をご紹介しましたが、国内にはまだまだ酷道がありますので紹介していきます。※道路状態や口コミ・体験談によるインターネット調査をもとに選んでいます。
国道352号線
まず最初に紹介するのは、国道352号線です。
■国道352号線
・起点:新潟県柏崎市
・終点:栃木県河内群三川町
新潟と福島県境を除く部分は、他国道との重複区間となっている場所が多いです。
新潟県長岡市内には未開通区間が残っていて豪雪地帯を通っているので、冬は通行止めになっている酷道です。
「洗い越し」と呼ばれる道路と川が平面交差している部分や、断崖絶壁に沿った細い道路も多くあります。
国道299号線
続いては国道299号線です。
■国道299号線
・起点:長野県茅野市
・通過点:群馬県多野郡上野村、埼玉県秩父市
・終点:埼玉県入間市
長野県茅野市から麦草峠を越えるルートは「メルヘン街道」と呼ばれていて、観光道路となっているんです。
長野県と埼玉県の境には武州街道と呼ばれる十石峠があります。
ここの道路幅はとても狭くて、自動車1台通るのがやっとなぐらい。
観光道路と酷道が同時に存在するのも、国道299号線の特徴です。
国道152号線
次は国道152号線です。
■国道152号線
・起点:長野県上田市
・通過点:長野県茅野市
・終点:静岡県浜松市
長野県の大鹿村と飯田市の間にある地蔵峠と、静岡県と長野県の境にある青崩峠は行き止まりで、2つの分断区間を林道で連絡しています。
道幅は車1台分ほどで冬には閉鎖される酷道です。
国道166号線
続いては国道166号線です。
この酷道は住宅街の中を抜ける都市型酷道です。
■国道166号線
・起点:大阪府羽曳野市
・終点:三重県松坂市
南阪奈道路が自動車専用道路になっているので、旧道が国道指定のまま残っています。
国道324号線
続いては国道324号線です。
■国道324号線
・起点:長崎県長崎市
・終点:熊本県宇城市
国道324号線は、今までの酷道とは一味違います
実は、浜町アーケードという商店街を通過する国道です。
商店街や道路は舗装されていますが、午前5時~午前10時までの5時間しか自動車や原付が通行できません※それ以外の時間は歩行者専用。
国道157号線
続いては国道157号線です。
■国道157号線
・起点:石川県金沢市
・通過点:福井県宇城市
・終点:岐阜県岐阜市
国道157号線で有名なのが「落ちたら死ぬ!!」と書かれた看板です。
ストレートでインパクトがある看板で、本州屈指の酷道として知られている国道157号線。
急勾配と急カーブが連続していて、ガードレールやカーブミラーも設置されていない未整備状態。
さらには「川を渡る国道」と呼ばれるほど洗い越しも多い酷道です。
国道471号線
続いては国道471号線です。
■国道471号線
・起点:石川県羽咋市
・終点:岐阜県高山市
国道471号線の区間は豪雪地帯で、12月~5月は閉鎖されています。
奥飛騨の山岳地帯を通過する富山県富山市から岐阜県飛騨市の一部区間は、災害の被害を受けやすく1年の大半は通行止めです。
開かずの踏切ならぬ「開かずの国道」と呼ばれています。
国道339号線
続いては国道339号線。
■国道339号線
・起点:青森県弘前市
・終点:青森県東津軽外ヶ浜町
国道339号線は、なんと階段の国道があるんです。
「階段国道」と呼ばれているこの酷道は、日本で唯一の階段が国道に指定されている道路です。
階段なのでこの部分を自動車では通れないので、迂回して路地を走って北上することになります。
ちなみに、階段は362段で登ると竜飛灯台に続く階段街道があります。
国道265号線
続いては国道265号線です。「ひむか神話街道」という観光道路もあり、そちらも有名です。
■国道265号線
・起点:宮崎県小林市
・終点:熊本県阿蘇市
距離は200.8キロメートルと長く、ほとんどの接続道路が狭隘路線(きょうあいろせん)といわれる狭い道。
そのため、一度酷い区間に入ってしまうと抜け出しにくいのも特徴。
道が細くてカーブが多く、ガードレールがない区間が多い点が「九州最凶酷道」と呼ばれる理由です。
ちなみに、国道265号線は阿蘇山周辺の箱石峠付近が絶景ポイントです。
国道291号線
最後に紹介するのは国道291号線です。
■国道291号線
・起点:群馬県前橋市
・終点:新潟県柏崎市
国道として成立したのは明治時代で、長い歴史を持つ酷道です。
しかし、土砂崩れや雪崩などの自然災害が多発して、路盤の決壊や橋の流失、トンネルの崩壊などで車両通行が不可能になりました。
法令上では一部区間は国道ですが、状態が荒れているので事実上の廃道状態です。
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■通行する際は細心の注意を!
酷道には階段国道やアーケード国道など、都市内や観光名所に存在する場所もありますが、これらのほとんどは狭く、通常の道路と比べて運転が難しいものが多いです。
したがって、酷道を走行する際は、通常よりもさらに注意が必要です。通常の道路の感覚で運転することは非常に危険です。
■酷道には危険を伴う
日本には多くの酷道が存在し、これらの道路はしばしば峠に関連しており、通常は見ることのできない美しい景色が広がっています。
しかしながら、これらの道路は非常に狭く、路面が滑りやすいこと、急なカーブが続くこと、路面の一部が崩れていること、断崖絶壁でガードレールがないことなど、運転が非常に難しい要素が含まれています。
このような険しい道を何時間も運転しなければならない場合もあり、さらに山の奥深くでは携帯電話の電波が届かないこともあります。
酷道を走る前には、緊急の事態に備えるだけでなく、運転技術や心構え、体力、精神力が必要です。
自信がない運転手は、これらの道路に挑戦するべきではありません。運転に自信がある場合でも、慎重さが重要です。
特に雨が降った後は、路面の安定性が低下し、危険が増すことがあります。実際に、転落死亡事故が発生している箇所もあるので、細心の注意が必要です。
■通行する際の注意事項
・雨が降った後の数日間は通行を避ける
整備が不足している厳しい道路では、雨の後は土砂崩れの危険性が高まります。土砂崩れに巻き込まれるリスクを避けるため、雨の後はその道路を使わない方が賢明です。
・酷道で休憩する際にエンジンを切らない
エンジンを停止させ、再始動できなくなると非常に困難です。酷道は通行者がまれであり、救助を求めるのが難しいこともあります。
■酷道にも強いトラック
・小回りのきく標準ボディ
標準ボディは狭い道でも通れるのも特徴です。道幅の問題で通行を断念せざるを得ない酷道も多いので、スリムで小回りが利く標準ボディまたはショートボディのトラックがオススメです。
・地上高が取れる高床トラック
高床トラックはその高さから、未舗装の道路でも石や障害物との接触を最小限に抑え、車両への損傷を軽減できる利点があります。高床トラックは発展途上国でも酷道で頼りにされています。
・馬力がある4WD
4WDは強力なエンジンを搭載し、険しい坂道や雪道など、厳しい環境でもスムーズに進むことができます。特に酷道での走行において、その優れた耐久性は大いに役立ちます。
■酷道マニアやファンの活動内容
最近、酷道を探索しその魅力を共有する人々が増えており、これは一種のブームとなっています。
酷道が大好きなファンやマニアと呼ばれている方は少なくありません。
ファンやマニアは酷道を写真や動画で記録し、それをオンラインで共有することに情熱を傾けています。
さらに、旅行記やレポートの形で酷道に関する情報を提供するライターやブロガーも増加しています。
この動きの一環として、酷道に関するDVDや書籍も販売され、酷道は観光名所のように人々の注目を浴びています。
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