物流に携わる人であれば、トラック業界の動向は気になりますよね。どのようなタイプのトラックが今の主流なのか、新車と中古車どちらのトラックを購入しようか悩んでいる方も多いと思います。
この記事では、現在主流であるトランスミッションの特徴や、中古トラックを購入する際のチェックポイントなどを紹介します。また、「トラックといえばマニュアルじゃないの?」「トラックの中古車ってどうなの?」といった疑問にもお答えしていますので、参考にしてください。
目次
オートマのトラックはある?
トラックに搭載されるトランスミッションはマニュアルが主流でしたが、もちろんトラックにもオートマ車は存在します。 オートマのトラックのメリットはクラッチペダルが無く、変速操作が不要なことです。 クラッチ操作が不要なので、操作ミスやエンストの心配などのドライバーの負担を減らし安全に運転ができます。 対してデメリットは、部品が多く構造が複雑なので車両価格や維持費が高額になることです。オートマはマニュアルに比べて燃費は良くないものの、操作技術で燃費が変わらないため、運転初心者におすすめといえます。
オートマトラックを坂道発進させる時のコツは?
坂道発進とは、停車状態の車を坂道で発進させることです。勾配がある道路に停車した状態からの発進なので、重力による車体の後退やエンストのリスクを回避するための運転技術が必要となります。ここではオートマのトラックの坂道発進時に必要な手順やコツを2点ご紹介します。
ハンドブレーキを利用する
オートマの車は、クリープ現象によりアクセルペダルを踏まなくても前進しますが、急勾配の道では重力の影響により後退してしまいます。 このような状況下においては、ハンドブレーキを引いて車が後退しないことを確認した後に、アクセルペダルを踏み込むとよいです。ハンドブレーキを握ったままアクセルを踏み続け、トラックの挙動を確認しながらハンドブレーキをゆっくり戻すとスムーズに発進できます。
ギアをDレンジに切り替える
オートマのトラックを坂道発進させる時に使用するギアは「Dレンジ」です。 Dレンジはオートマ車の走行モードの1つで、アクセルを踏むと自動で1速からスタートするため走り出しがスムーズになります。 「Lモード」など、マニュアルモードを搭載した車種もありますが、スムーズな発進を妨げる可能性があります。オートマのトラックで坂道発進する場合は、1速からスタートしてくれるDモードの使用をおすすめします。
トラックにはオートマ以外にどんなトランスミッションがある?
ここまでオートのマトラックの特徴や性能、坂道発進のコツなどを解説しましたが、トラックにはオートマ以外にどのようなトランスミッションがあるのでしょうか。トラック業界で長年主流であったマニュアル、近年増加中のセミオートマの2つのトランスミッションについて説明します。
車体価格や維持費が安いマニュアル(MT)トラック
マニュアルトラックは、ドライバー自身が変速調整する、もっとも原始的なトランスミッションです。 マニュアルトラックは構造がシンプルなので、オートのマトラックに比べると、以下のような特徴があります。
- 車体価格が安い
- 耐久性が高い
- 修理費などの維持費を抑えられる
マニュアル車は、オートマやセミオートマよりも燃費が良いという特徴があります。また、車体価格が最も安いのもマニュアル車です。耐久性が高く、その分、維持費も割安になります。マニュアル車の最大のメリットは、このコストが安いという点でしょう。トラック運送業者にとっては非常に重要なポイントです。
マニュアルのほうがトラックを運転しやすいというドライバーも多いようです。トラックは基本的に動き出しと停止が遅いため、クラッチがあったほうが微妙なスピード調整ができます。バックでの駐車なども簡単です。マニュアルでの運転に慣れているということもあるでしょうが、これも見逃せないメリットでしょう。
逆に、デメリットはシフトレバー、クラッチペダルを扱うことになるため操作が複雑になること、人によっては運転が難しいと感じることです。坂道発進などでは半クラッチなどのコツをつかんでいないとエンストしてしまうこともあります。これも慣れの問題ともいえます。
運転が簡単なオートマ(AT)トラック
クラッチ操作が不要で、操作が簡単なことがオートマを選ぶメリットです。操作ミスによるエンストもありません。クラッチペダルがないので渋滞などでも左足が疲れません。燃費が悪いともいわれますが、マニュアルでは運転の仕方によって燃費効率が変わるのに対して、オートマなら誰が運転してもあまり変わらないという側面もあります。
デメリットは部品が多く構造が複雑な分、車体価格が高いことです。また、トラックの運転ではエンジンブレーキをよく使いますが、オートマでは通常、あまりエンジンブレーキが効きません。この点を苦手とするドライバーも多いのではないでしょうか。
適切な変速操作ができるセミオートマ(AMT)トラック
セミオートマはクラッチペダルのないマニュアル車です。アクセルを強く踏めば低速ギアで走行し、アクセルを緩めると自動クラッチが効いて高速ギアに移行します。
実はオートマもその傾向がありますが、最近のセミオートマは非常に高性能です。運転のしやすさや馬力も申し分なく、シフトチェンジのタイミングもドライバーが設定可能なものが現れています。エンジンブレーキもきちんと効きます。セミオートマの運転の簡単さ、快適さに慣れると、マニュアルには戻れないというドライバーもいるようです。とくに若い人の中には、セミオートマのほうがしっくりくるという人が増えています。デメリットはオートマの場合とほぼ同じですが、価格以外は改善されてきているといえます。各メーカーのセミオートマシステム
セミオートマシステムは各社独自に開発をしており、呼び方もメーカーにより異なります。
メーカーごとのセミオートマシステムと搭載車例は下記の通りです。
メーカー名 | セミオートマ名 | 搭載車例 |
いすゞ自動車 | スムーサー | エルフ、フォワード |
日野自動車 | プロシフト | デュトロ、レンジャー |
三菱ふそう | イノマット | キャンター、スーパーグレート |
UDトラックス | エスコット | クオン、ビッグサム |
それぞれのセミオートマシステム名にバージョンやシリーズ名が付随し、スムーサーであれば「スムーサーEx」や「スムーサーGx」、プロシフトであれば「Pro Shift V」や「Pro Shift 7」などがあります。
セミオートマ(SAT)トラックが増加している理由
最近のトラック業界では、セミオートマ(SAT)のトラックのシェアが広がっています。社会的背景による需要に対して、技術革新の進歩による供給が応えたことが大きいためです。 セミオートマのトラック増加の理由を、社会的背景と技術革新の2点から解説します。
ドライバー不足解消のため
トラックドライバー不足の原因に、若者のクルマ離れという社会的背景があります。 操作が簡単で、免許取得のハードルが低いオートマのシェア拡大は、トラック業界に必要なことでした。 しかし、トラックの車両重量は大きいため、動力を伝える力が低下する「トルクロス」が発生するオートマとは相性が良くありません。その結果、マニュアルの機能性とオートマの利便性を併せ持った、セミオートマのトラックが普及したのです。
マニュアルとオートマチック両方の利点を持つため
トラックメーカー各社の技術革新が生み出したセミオートマのトラックは、マニュアルシステムをベースに作られています。そのためマニュアルのようにトルクロスが少なく細かな変速操作ができます。 セミオートマのトラックは、オートマ同様の操作の簡易さを持ち、オートマ限定免許でも運転することが可能です。また車体構造がマニュアルベースなので、車両価格や維持費などのコストをオートマより抑えることができます。 まさにマニュアルとオートマの良いとこ取りをしたのがセミオートマなのです。
セミオートマの中古トラックを選ぶ際のポイント
業界ニーズに合わせた万能型ともいえるセミオートマのトラックの購入を考えている方のために、中古トラックを選ぶ際のポイントをご紹介します。年式と走行距離から候補のトラックを見つけ、その後現車確認を行うという流れになります。
年式と走行距離のバランスを確認する
セミオートマの中古トラックを購入する際は、年式と走行距離のバランスを確認することが大切です。トラックの寿命は普通車よりも長く、一般的に10年~15年ほどだといわれています。走行距離や年式はエンジンやブレーキの状態と直結するので、駆動機関の状態を見極める指標としましょう。
入念な現車確認をする
現車確認時は傷や凹み、タイヤの状態などの外装はもちろん、車内の匂いやエアコンの状態などの内装に至るまでしっかりチェックしましょう。実際に運転しないと分からない項目も多いので、きちんと試乗して確かめる必要があります。
ハンドルや足回りの感覚はもちろん、エンジン・排気・ブレーキなどに異音がないかなど、試乗時のチェック項目は多岐にわたります。現車確認や試乗は手間がかかりますが、購入後のトラブルを避けるためにも丁寧に行いましましょう。
セミオートマの中古トラックならステアリンクへ
トラック業界のニーズに合わせて、セミオートマのトラックの人気が高まっています。セミオートマのトラックの中古車を購入したいとお考えの方は、年式と走行距離をもとにエンジンやブレーキの状態を見極め、試乗して違和感や異音がないかを確認しましょう。
セミオートマのトラックの購入を検討する際は、中古トラック販売の専門店「ステアリンク」がおすすめです。主要メーカーの在庫が多数で、購入時の現車確認やオプションサービスなどのサポートも万全です。セミオートマのトラックの中古車をお探しの方は、是非一度「ステアリンク」にお問い合わせください。