トラック・運送・トラックドライバー情報

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パワーステアリングの機能不良の原因と対策

更新日:2023/06/13

普段はあまり意識せず便利に使っているパワーステアリング(パワステ)ですが、万が一、故障などがあると安全運転に支障をきたす危険性があります。とくにトラックの場合は油圧式のパワーステアリングが主流なので、現在、一般車に普及している電動式パワーステアリングとは注意すべき点も異なります。今回はトラックのパワーステアリングについてご案内します。

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パワーステアリングとは

パワーステアリングとは自動車において、運転者がハンドルを軽い力で操舵できるようにアシストする機構のことです。現在では市販されているほとんどの車にパワーステアリングが備わっていますが、1980年代頃まではこうしたアシスト機構はあまりポピュラーではなく、手動ステアリングが主流でした。

手動ステアリングではとくに車が停止した状態でハンドルを回す際に(いわゆる据え切り時に)ハンドルが重くなり、車の重量が重ければ重いほど相当な力が必要でした。それが今ではパワーステアリングのおかげで、大型トラックでも軽々とハンドルを切ることができるようになっています。

パワーステアリングの種類

パワーステアリングには油圧式と電動式という2つの方式があります。トラックでは今のところ油圧式が主流です。それぞれの特徴をみてみましょう。

油圧式

油圧式は電動式より歴史が古く、安価にコンパクトかつ性能の高いシステムを作る技術が確立されています。エンジンの出力で油圧ポンプを作動させ、ハンドルを切ると油圧をステアリングギアに内蔵されたパワーシリンダに送り込むという機構が働いて、タイヤの向きを変える力をアシストします。車速を感知してアシスト力を制御する方式を別にすれば、基本的に機械制御なので電子制御部品が不要で信頼性が高いといわれます。また、慣性が小さくステアリング操作のフィーリングが自然なのも特徴です。ハンドルに適度な重さを感じ取れるため、路面や車体の状態を感覚で把握できます。

電動式

こちらはモーターなどを用いて電気の力でハンドルの操舵をアシストする方式です。電動パワーステアリング(EPS)とも呼ばれます。電動式は、モーターによるパワーアシスト部を備え付ける場所の違いなどによって、コラム式、ピニオン式、ラック式とさらに細かく分類されます。

パワーステアリングの機能不良の原因と対策

パワーステアリングが機能不良に陥ると、ハンドルが重くなり、事故につながる危険性があります。機能不良となる主な原因と対策は次の通りです。

ベルトの損傷

パワーステアリングポンプを回すためのベルトが損傷または劣化すると「キーキー」「キュルキュル」という異音がすることがあります。ベルトはゴム製なので放っておくと亀裂が広がり、やがて破損してしまいます。変な音がすると思ったらベルトの状態を確認して交換しましょう。

パワーステアリングポンプの故障、劣化

パワーステアリングポンプ自体が故障することもあります。劣化などで機能が低下している場合は「ジー」という異音がしたり、ハンドルが重くなったりしてきます。また、軸などが緩んでいることもあります。最も効果的な対策はポンプを交換することです。

オイル漏れ

ポンプやホース、継ぎ目、オイルシール、Oリング、パッキンの破損や劣化によってパワーステアリングオイルが漏れることもあります。オイル漏れが起きていたら破損している箇所を突き止めて修理や交換などの対策を施しましょう。

オイル不足

オイル不足が起きているときも異音がします。ほうっておくとハンドルが重くなってきます。オイル不足が起きる原因もほとんどはオイル漏れです。ただ、オイルの量が変わらなくてもオイルが劣化して異音やステアリングの引っ掛かりを感じることもあるので、そんなときはオイル交換をすると調子がよくなるでしょう。

安全にトラックを運転するためにも、パワーステアリングの仕組みをしっかりと理解しておくことが大切です。異音やハンドルの重さに対しても日頃から意識をして、トラブルを未然に防ぐことを心がけましょう。

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