目次
減価償却とは?
減価償却とは、固定資産を購入する際に支払った金額を確定申告時、経費として何年かに分けて計上する仕組みのことです。対象となるものは、耐用年数が1年以上で、購入金額が10万円以上のものです。車はもちろん、他には建物やパソコンなどの機械が挙げられます。
上記に該当するものは購入した年に全額経費計上ができないため、減価償却をして何年かに分けて計上する必要があります。
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耐用年数とは?
耐用年数とは、固定資産を使用できる標準的な期間のことを指します。つまり、耐用年数によって1年に計上できる減価償却費用が決まってくるということです。
また耐用年数は、固定資産の価値を基準とし、資産の種類や構造などによって所得税法や法人税法のなかで細かく定められています。車の場合も、車の種類や新車、中古車などによって耐用年数が変わるため、減価償却をする場合には購入する際に確認しておく必要があります。
中古車の場合は、使用環境や劣化状況には関係なく経過年数をもとに決まった計算式に当てはめて耐用年数を計算するのが特徴的です。なお、10万円未満の中古車の場合は1年で減価償却が可能です。
新車の耐用年数と中古車の耐用年数をそれぞれ詳しく解説していきます。
■運転免許取得の費用
新車の耐用年数は、法律で定められており、普通自動車が6年、軽自動車が4年です。
トラックの場合はさらに細かく区分がされており、それぞれの耐用年数は以下の表のとおりです。
■中古車の耐用年数の計算方法
中古車の耐用年数は、経過年数を考慮して算出されるため、新車と比べると短くなり、毎年の減価償却費を多く計上できるのが特徴です。算出して出した年数のうち、1年未満の端数は切り捨てられます。例えば、計算して4.6年となった場合、耐用年数は4年となります。ただし、計算して2年未満となった場合の耐用年数は2年とされます。
また、中古車の場合は、経過年数が新車購入時の耐用年数を過ぎている場合と過ぎていない場合で算出方法が異なるので、それぞれ詳しくみていきましょう。
■耐用年数を過ぎていない中古車の場合
【(耐用年数-経過年数)+(経過年数×20%)=中古車の耐用年数】
(例)新車登録から3年の普通自動車の場合(法定年数:6年)
(6年-3年) + (3年×0.2)=3.6年
※端数は切り捨てなので、上記の車の耐用年数は3年となります。
■耐用年数を過ぎている中古車の場合
耐用年数を過ぎている中古車の場合の計算式は下記です。
【耐用年数×0.2】
(例)新車登録から7年の普通自動車の場合(法定年数:6年)
6年×0.2=1.2年
※2年未満の場合は2年として扱われるので、耐用年数は2年です。
減価償却費用の出し方
購入する車の耐用年数の把握ができたら、減価償却費用が算出できます。算出の仕方は3種類あるので、それぞれ解説していきます。
■定額法
定額法とは、取得した価額を耐用年数で均等に割るものです。取得した価格には、自動車税や自賠責保険料なども含まれます。計算式は以下のとおりです。
【車の取得価額×定額法の償却率】
定額法の償却率
耐用年数 | 定額法償却率 |
2年 | 0.500 |
3年 | 0.334 |
4年 | 0.250 |
5年 | 0.200 |
6年 | 0.167 |
出典:国税庁のホームページ 「減価償却資産の償却率等表」)
(例)新車登録から15ヵ月の普通自動車を170万円で購入した場合
新車登録から15ヵ月の普通自動車の耐用年数は5年なので、上記の計算式に当てはめて計算します。1年間の減価償却費は56万円と算出できます。
170万円×0.2=34万円
個人事業主の方は基本的に定額法で算出しますが、税務署に定率法への変更届を出すことも可能です。ただし、法人の方も個人事業主の方も定額法や定率法に変更したあと3年間は変更できませんので注意が必要です。
定率法
定率法とは一定の償却率にしたがって減価償却をおこなうものです。定率法の場合、減価償却の累計額をもとに毎年減価償却費用が変わるので、初年度が一番高額となり、年々減っていくのが特徴です。
基本的には、法人の方が減価償却をする際に使用される計算方法です。定率法の計算式は下記になります。
【未償却残高(取得価額-減価償却累計額) × 償却率】
償却率は国税庁によって定められているので、以下の表を参考に算出してください。
■定率法の償却率
耐用年数 | 定率法償却率 |
2年 | 1.000 |
3年 | 0.667 |
4年 | 0.500 |
5年 | 0.400 |
6年 | 0.333 |
出典:国税庁のホームページ 「減価償却資産の償却率等表」
定額法と同じく、新車登録から15ヵ月の普通自動車を170万円で購入した場合を考えてみましょう。
上記の計算式にあてはめて計算します。
1年目:170万円×0.4=68万円
2年目:(170万円−68万円)×0.4=40万8000円
3年目:(170万円−68万円−40万8000円)×0.4=24万4800円
初年度に減価償却費を多く計上できることがわかります。
リース期間定額法
リース期間定額法とは、資産のリースを利用した場合の減価償却費の計算方法です。カーリースを使用した場合の減価償却も当てはまります。リース資産の償却限度額を定めて減価償却します。
リース期間定額法の計算式(減価償却額を算出する計算式)は下記になります。
【リース資産の購入代金/全リース期間の月数 × その事業年度におけるリース期間の月数】
(例)購入代金が350万円でリース期間9年(のカーリースをした場合事業年度におけるリース期間の月数は12ヵ月です。上記の計算式にあてはめます。
350万円/108ヵ月×12ヵ月=38万8889円
上記の場合は、毎年38万8889円を減価償却できます。
しかし、リース期間が1年以内であったり、リース料総額が300万円以下の場合は、その事業年度の経費として一括で計上できます。
車を減価償却する際の注意点
車を減価償却する際、節税をする上で気をつけるべきポイントがあるので解説します。減価償却費の減額にもつながってしまうので、しっかりと理解しておきましょう。
中古車の購入タイミングに注意
購入タイミングは、事業年度の最初の月がおすすめです。減価償却は月単位で計算されるため、事業年度の最初の月に購入すると減価償却費を最大限計上できます。
利用状況によっては減価償却額の減額につながる
事業用として車をプライベートでも使用する場合には、経費として認められる割合が減ってしまう可能性があります。例えば、利用頻度が社用とプライベート用で半分のときは、減価償却費も半分となってしまうので注意しましょう。
中古車の場合、修理費用に要注意
中古車を購入した場合でも、修理に費用をかけすぎると新車の耐用年数で減価償却費が算出されてしまうため注意が必要です。
修理の費用が中古車の車両価格の50%以上に達した場合は新車と同じ耐用年数に当てはめられてしまうので、修繕費用は極力抑えましょう。
中小企業や個人事業主の方は注目!減価償却特例の内容とは?
減価償却特例は、購入した資産が30万円未満の場合、全額を経費として計上が可能となる制度です。減価償却特例では、仮に事業年度末に購入したときでも全額経費に計上できます。
中小企業の方や個人事業主の方で30万円以下の中古車を購入する場合には、大きな節税となるのでぜひ確認してみてください。
車の減価償却のよくある質問
新車と中古車、節税にはどちらがおすすめ?
減価償却の年数を短くして、毎年の減価償却費を多くするためには、中古車がおすすめです。中古車のなかでも経過年数が3年10ヵ月のものは、耐用年数が2年と算出できるため、比較的コンディションのよい車の購入が可能です。
さらに、定率法を使って減価償却をする場合は、、耐用年数が2年の償却率は1.000となるため、1年で減価償却ができます。
中古車トラックを長持ちさせるには?
減価償却を意識して中古のトラックを購入したものの、コンディションの関係で短期間しか使えないのでは意味がありません。中古車トラックを長持ちさせるためにはメンテナンスと丁寧な運転がポイントとなります。それぞれ詳しくみていきましょう。
その1:こまめなメンテナンス
メンテナンスでは特にエンジンに大きな影響を与えるエンジンオイルのチェックが重要です。トラックは長距離の走行も多いので、車体を長持ちさせるためには、こまめにメンテナンスをしましょう。他にもタイヤやバッテリー、冷却系統のチェックは特に気をつける必要があります。
その2:丁寧な運転
車両に負担をかけないために、急ブレーキや急発進はしないように日頃から心がけましょう。また、エンジンが温まっていない状態で走り始めてしまうとエンジンに負担がかかるので、時間を置いてから走行するようにしてください。
まとめ
車を購入した際の減価償却について解説してきました。減価償却をする際は、耐用年数が重要となるため、購入をするときから耐用年数を気にかけるとよいです。
また、新車と中古車では耐用年数に違いがあり、経過年数が考慮される中古車の方が減価償却の期間を短くできるという点で節税にはおすすめであることを説明しました。
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