トラック・運送・トラックドライバー情報

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トラックのオーバーハングとは?事故を起こさない運転方法も解説

更新日:2023/06/05
運転手の画像

オーバーハングは、トラックやバスなどの車体が長い車を運転する際に気を付けなければならないポイントのひとつです。

知識として覚えておかないと、オーバーハング事故というトラック特有の事故を引き起こす恐れがあります。

本記事では、オーバーハングの特徴だけではなく、サイズ別の目安やオーバーハング事故を少なくする運転方法をご説明します。

トラックドライバーのみならず、乗用車を運転される方も理解しておくべき内容です。

 

オーバーハングとは

オーバーハングとは、タイヤの中心から外側にはみ出した車体の部分を指す用語です。

前輪からフロントバンパーまでを「フロントオーバーハング」、後輪からうしろにはみ出した部分までを「リアオーバーハング」と呼びます。

主にオーバーハングといえば、リアオーバーハングのことを指す意味で用いられることが多いです。

車体の長いトラックやバスは、右左折時にオーバーハングによって車体の後方部が反対車線にはみ出してしまいます。

反対車線にはみ出すことによって、後方から追突されたり後続車に接触したりする危険性があります。

事故を起こさないためにもオーバーハングを理解し、右左折時には特に注意してください。

内輪差との違い

内輪差は、タイヤの前輪が通る軌道と後輪が通る軌道の幅の差をいいます。

車は、曲がるときに前輪が通る軌道よりも内側に後輪が通ります。そして車自体の長さが長いほど内輪差が大きくなる特徴があるのです。

オーバーハングははみ出した車体部分を指す用語ですが、内輪差は前輪軌道と後輪軌道の幅の差を指す用語になります。

内輪差による交通事故は、以下の時に多発しています。

  • 狭い道路の交差点での右左折時
  • 施設から右左折での出入り時
  • 駐車スペースから右左折での出入り時

自分が運転する車の内輪差を理解していないと、車をぶつけたり巻き込み事故を起こしたりします。必ず車の特性と車長などの基本データは覚えておきましょう。

オーバーハングの規定

オーバーハングの長さの規定は、道路運送車両の保安基準によって以下のように定められています。

「自動車(ポール・トレーラを除く。)の最後部の車軸中心から車体の後面までの水平距
離(空車状態の自動車を平坦な面に置き巻尺等を用いて車両中心線に平行に計測した長
さをいう。以下この条、第100条第6項及び第178条第6項において同じ。)に関し、保安基準第18条第1項第3号の告示で定める基準は、最後部の車軸中心から車体の後面までの水平距離が最遠軸距の2分の1(物品を車体の後方へ突出して積載するおそれのない構造の
自動車にあっては3分の2、その他の自動車のうち小型自動車にあっては20分の11)以下
であることとする。」
引用:国土交通省「道路運送車両の保安基準第22条(車枠及び車体)6」より一部抜粋

このため、荷台から突出するような荷物を積むときは規格オーバーにならないように注意しましょう。

 

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サイズ別オーバーハングの目安

タイヤの画像

 

それでは、以下のサイズ別でどれくらいオーバーハングするかをみていきましょう。

  • 小型トラック
  • 中型トラック
  • 大型トラック

基本的には、後輪から最後部までの長さが長い大型トラックほど、オーバーハングも大きくなる傾向にあります。

ただし、オーバーハングはハンドル操作や走行スピードによって変わるため、実際に運転してその車の特徴を知っておく必要があります。

 

小型トラック

小型トラックは、基本的にオーバーハングがありません。なぜなら後輪から最後部までの長さが短いからです。

ただ、オーバーハングがまったくないわけではなく、数十cmほど車体の一部がはみ出すことはありますが、小型トラックは車幅も短いため車線からはみ出すことはほぼありません。

そのため、小型トラックのオーバーハングは、それほど意識する必要はないでしょう。

しかし、荷台から突出している長尺物を載せている場合は、後輪から最後部の長さが長くなるので接触に注意してください。

 

中型トラック

中型トラックのオーバーハングの目安は、約60cmから100cmです。当然ですが、トラックのタイプによって異なります。

たとえば、中型トラックでもロングや増トン車は後輪から最後部までの距離が長くなるので、オーバーハングする部分が必然的に大きくなります。

車線から車体の一部が60cmもはみ出すと接触の危険性が増します。そのため、中型トラックからはよりオーバーハングの意識をしっかり持たなくてはいけません。

同時に、より高度な運転技術と確実な安全確認が求められます。

 

大型トラック

大型トラックともなると、オーバーハングの目安は約100cmから120cmと大きくなります。

大型トラックは後輪から最後部の長さが特に長い車両になるので、曲がるときにどうしても外側に車体の一部が膨れてしまいます。

実際に、右左折時に後方部が壁にぶつかったり、駐車場から発進する際に隣の車に接触したりするケースが多いです。

また、車体が大きくなればなるほど、車体のまわりに目が行き届かなくなります。

大型トラック特有の挙動をしっかりと理解し、中型トラックよりさらに高い運転技術と細かな目視確認が必要となります。

 

トラックのオーバーハングで事故を少なくするためにできること

トラック整備の画像

トラックのオーバーハング事故を少なくするには、安全運転と確認作業が不可欠です。

ハンドルを操作するドライバーの運転技術も確かに大事ですが、右左折する前にしっかり減速し、左右の安全確認を怠らなければ、オーバーハング事故は少なくなります。

具体的に、オーバーハング事故を少なくするためには以下の操作と確認が必要です。

  • 左右両方のミラーでよく確認する
  • 右折時のハンドルはゆっくりと
  • 左折時はできるだけ道路の左に寄る

ひとつずつ詳しくご説明します。

 

左右両方のミラーでよく確認する

曲がる方向のミラーだけではなく、左右両方のミラーで安全確認しなければなりません。なぜならトラックの後方部は死角になっているからです。

たとえば左折する場合、左のミラーでバイクなどの巻き込みがないかを確認し、右のミラーでオーバーハングによって接触しないかを確認します。

左右のミラーでしっかり確認していれば、オーバーハングによる接触事故は減らすことができます。

車体が長いと安全確認がより困難になるので、進入速度を落とし左右のミラーでしっかり確認しましょう。

 

右折時のハンドルはゆっくりと

ハンドルをゆっくり徐々に切ることで、オーバーハングによる膨らみを抑えることができます。

さらに右折の場合は、ハンドルを大きく切らなくても曲がることができます。なぜなら右折は、対向車線の道幅分の余裕があるからです。

右折時は、少し大回りするイメージでハンドルをゆっくり切れば、オーバーハングによってはみ出す部分が抑えられ接触が防げます。

繰り返しになりますが、ポイントは「右折時のハンドルはゆっくり切る」です。

 

左折時はできるだけ道路の左に寄る

車体を左側に寄せると、わずかながらも右側にスペースが生まれます。すると、オーバーハングによって車体の一部がはみ出しても、スペース分膨らみを軽減することができます。

たとえば、車体の一部が100cm反対車線に膨らむとしたら、左側に寄せることにより70cm〜50cmほどに抑えることが可能です。

ただし、寄り過ぎると曲がれなくなってしまうので要注意です。

また、内輪差や巻き込み事故が気になるところですが、曲がる前にスピードを落としてミラーで安全を確かめれば事故は防げます。

左折時は、できるだけ道路の左側に寄って少し遅めにハンドルを切るとうまく左折ができます。

 

トラックのオーバーハングを知って安全運転を!

トラックのオーバーハングについて解説してきました。

オーバーハングを理解していないと、大きな事故につながる可能性が高まります。

オーバーハングを抑えるためには、左右のミラーをよく確認することを徹底し、事故の可能性を少なくできるようにしましょう。

ただ、車体の感覚を掴むには時間がかかると思いますので、まずはオーバーハングが少ない小型トラックで練習することをおすすめします。

「ステアリンク」では、各社メーカーの中古トラックを豊富に取り扱っており、お客様の条件に合うトラックを探すお手伝いをさせていただきます。

オーバーハングに関して不安に思っている方も、相談しながらトラックの購入サイズを決めることができます。

購入後の保証も充実していますので、契約後も安心して乗っていただくことが可能です。

中古トラックの購入を検討されている方は、ぜひ「ステアリンク」にお問合せください。

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