トラック走行中に「あれっ、いつもと違う音がする」と感じたことありませんか?
走行中に異音を感じた時には、トラックに異常が出ている可能性も。聞こえてくる異音を判断して的確に対応するのも、トラックドライバーの責任の一つです。
そこで今回は、『ノッキング』と呼ばれる現象の原因や予防、対策を詳しく解説します。
目次
トラック運転中の異音「ノッキング」とは?
ノッキングとは、エンジンノックとも言われる異常音の一種。
「キンキン」「カンカン」など金属音が特徴で振動も伴います。何も問題ない場合はリズミカルなエンジン音ですが、異常がある場合にはノッキングが生じます。
ノッキングをそのままにしているとエンジンに負担が掛かり、故障の原因にもなることも。「やたら金属音や振動がする」とノッキングに気づいたら、すぐ対策して改善しましょう。
ちなみに、高性能な車を製造する場合にはノッキングをどれだけ制御するかが課題なのです。
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ノッキングの原因とは?
ノッキングにはさまざまなタイプや原因があります。
ノッキングが起こる原因には「エンジンにおける異常燃焼」が挙げられます。ここでは、異常燃焼を3つのタイプで解説します。
デトネーション(異常燃焼)
デトネーションとは、燃焼室内が超高圧かつ超高熱な状態となり、プラグ点火以外で爆発的な燃焼が起こること。
ガソリンエンジンの独自現象で、ディーゼルエンジンでは起こりません。ディーゼルエンジン搭載率が高いトラックでは起こりづらいノッキングです。
圧縮前に何かしらの理由で高温になった燃料への自然着火、燃焼時にまだ燃えていない部分において高温になった燃焼室内の空気が燃焼することです。
プレイグニッション(早期着火)
プレイグニッションはデトネーションの一種。
燃焼室内でプラグ点火よりも早く違う場所で着火し、時間差で火種が2ヶ所に発生する状態をプレイグニッションと呼ぶのです。
火種が2ヶ所になるのでエンジンに2倍の力が掛かります。瞬間は問題なくても故障などのトラブルになりかねません。
ディーゼルノック
ディーゼルノックは、ディーゼルエンジン特有のノッキングです。
トラックなどの大型ディーゼル車は軽油走行です。軽油はハイオクやレギュラーなどのガソリンと違い着火しにくい特徴があります。
着火しにくいと噴射された全燃料が燃え尽きるまでに時間を要して、燃えている燃料がある間に次の噴射が起こります。つまり、火種が複数となることでノッキングが発生します。
全タイプ共通のノッキングを引き起こす環境原因と対策
ここではノッキングを起こす5つの環境条件を解説します。
エンジンへの負荷が高い
積荷を最大積載量限界まで積むなどエンジンに負担をかける状態で走行すると、燃焼行程が異常を起こして異常燃焼が発生する場合があります。
エンジンに負荷が掛かると燃焼室内が高温になり、異常燃焼につながるのです。
燃焼室の汚れ
燃焼室内に汚れが付着したままだと、汚れが発火源となり異常燃焼が発生する場合もあります。
そのため、燃焼室内を綺麗に保つ必要があるのです。
エンジンの温度不足
エンジンの温度不足もノッキング原因です。
ディーゼルエンジンは自然着火にて点火しますが、エンジンの温まり方が燃焼に影響を与えるのです。気温が低い冬場はなかなかエンジンが温まらず燃焼室内の燃焼が安定しないので、ノッキングが発生する可能性が高くなります。
高過ぎる圧縮比やブースト圧
基準を越えた圧縮比やブースト圧もノッキング原因の1つ。
エンジンにターボチャージャーが付いている場合、通常より圧縮比が高くなる特徴があります。その結果燃焼室内の空気が高圧縮されて高温になり、空気が発火源となり異常燃焼する可能性があるのです。
低いオクタン価やセタン価の燃料や薄い燃料
低いオクタン価やセタン価の燃料や薄い燃料も原因になり得ます。
ガソリンのオクタン価とは、ノッキングの起こりにくさを表す数値。オクタン価が低いとノッキングが起こりやすくなります。
一方のガソリンはレギュラーよりもハイオクのほうがオクタン価が高くノッキングしにくい特徴です。
軽油のセタン価はディーゼルノックの起こりにくさを表す数値。15~100の数値で示されていて、セタン値が高いとディーゼルノックは起こりにくくなります。
ノッキングは異常燃焼が原因で発生します。ここでは、可能な限り異常燃焼を起こさないための対策や対処法を解説します。
一般的な対策を以下にまとめまして。
・適切なオクタン価やセタン価の燃料を入れる
・燃料添加剤を使用燃焼を促進させて、不完全燃焼を防いて汚れの原因カーボンの発生を防ぐ
・荷物を載せすぎに注意する
ディーゼルエンジンの燃焼方法と対策
ディーゼルノックはさほどエンジンを傷めることのないように設計されています。
その理由は、ガソリンエンジンと燃焼方法が違うため。ディーゼルエンジンには、ガソリンエンジンのようなスパークプラグがないのです。
ディーゼルエンジンは空気だけを高圧縮比で圧縮して、燃焼室内を高温高圧状態にする特徴があります。その後、シリンダー内に軽油を噴射して着火させています。
ディーゼルエンジン燃焼室内は高圧高温では燃焼効率が上がるので、エンジンオイルの粘度が高いものに変えてみるのもオススメです。
それでもノッキングが改善しない場合は、エンジン内部のパーツが劣化したことが考えられます。
劣化パーツを使うと燃焼室内の圧力が十分に上がらなくなります。併せて燃料噴霧装置不具合の可能性もあるので、整備工場で分解点検修理してもらいましょう。
まとめ
今回は、ノッキング現象の原因や予防、対策を詳しく解説しました。
ノッキングはエンジン内の異常燃焼が原因で発生する現象です。ノッキングが発生した場合の対策方法を確認しておけば、慌てずに対処できますよ。
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