毎日たくさんのトラックが一般道や高速道路を走っており、様々なものを運び、日本の物流を支えています。
また、少しでも事故の可能性を減らすため、トラックには安全に運転するための様々な装置が組み込まれています。
そこで今回は、トラックを安全に運転するASR機能の目的を解説するとともに、各トラックメーカーによる機能の違いについてご紹介します。
これからトラックの運転や購入をお考えの皆様にとって、この記事が参考になれば幸いです。
目次
トラックのASRとは
ASR(アンチ・スリップ・レギュレーター)とは、車両が発進や加速をした際に、タイヤが空転してしまうのを防ぐ装置のことを言います。
各メーカーに似たような機能が搭載されているのですが、以下のように名称が若干異なります。
- 日野 アンチ・スリップ・レギュレーション
- いすゞ アンチ・スリップ・レギュレーター
- 三菱ふそう アンチスピンレギュレーター
トラックの安全性を向上させるアクティブセーフティ機能の1つに挙げられ、中型クラス以上のトラックへの搭載が進んでいます。
トラックは大型で重量もあるため、ささいな事故でも大事故につながってしまう恐れがあります。
そのため、ドライバーの安全運転だけではなく、車両製造メーカーも安全装置を開発し、交通事故を減らす取り組みを行っているのです。
ASRの目的
凍結路面や砂利道、雨天走行など路面が滑りやすいコンディションにおける走行時は、タイヤが空転してトラックの発進にもたついたり、横滑りを起こしたりする危険があります。
ASRが付いていない車両は、駆動輪の空転が生じた場合、人為的にアクセルやクラッチの微妙な操作加減によって、タイヤを空転させずに駆動力を路面に伝えるテクニックが必要です。
そのため、トラックの運転経験が少ない未熟なドライバーは自ら対応できないことが多く、渋滞や通行止めの原因となることも少なからずありました。
その点、ASRが付いている車両であれば人為的な操作を必要としないので、運転経験が少ないトラックドライバーでも、路面状態が悪い道路を安心して走ることができます。
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ASRの仕組み
ASRは、滑りやすい路面で駆動輪が空転したことを察知すると、駆動力伝達のコントロールを行います。
例えば、片方のタイヤだけが空転した場合は空転したタイヤに自動でブレーキをかけ、空転していないタイヤの駆動を助けます。
両方のタイヤが空転するなど過度にアクセルを踏んでいる場合は、エンジンの出力を抑えてタイヤのグリップ力を高めることで空転を抑え、スムーズな発進を支援します。
また、滑りやすい路面におけるカーブの走行時においてもASRは駆動輪の空転を察知し、自動的に駆動力を制御することで、走行中の車体を安定させてくれます。
走行中のドライバーにもARSが作動していることがわかるように、メーターパネル内のランプが点滅して知らせてくれます。
ASRのメーカーごとの違い|日野・いすゞ・三菱ふそう
先述したようにASRの名称の違いはありますが、ASR単体で見た場合、メーカーごとの違いはあまりありません。
しかし、ASRを含めた安全装置システムとしては各メーカーごとの違いが見られます。
【日野自動車】
安定した走行を保持し、車両のコントロールをサポートするVSC(車両安定制御システム)を採用することで、車両の横転やスピンにつながる横滑りを防止します。
参考:安全性能 | 日野レンジャー(中型トラック)| 日野自動車
【いすゞ自動車】
ドライバーの操作状況や車両の挙動をセンサーで感知し、重大な事故に結びつく車両姿勢であるとセンサーが判断した場合、エンジンやブレーキの制御を行うIESC(電子式車両姿勢制御システム)を採用しています。
制御を行うだけではなく、警報を発し、ドライバーに注意喚起を促します。
参考:ISUZU:GIGA(大型トラック) – 先進安全装置_1 – いすゞ自動車
【三菱ふそう】
ESP(車両安定性制御装置)により、車両姿勢が不安定になった場合に、ドライバーに対し警報音を発し警告を行います。
さらに、横滑りや横転の危険があるとESPが判断した場合には、エンジントルクとブレーキ制御を行うことで、旋回時の車両を安定させ、危険を回避します。
参考:CANTER TOTAL SAFETY| 三菱ふそうトラック・バス株式会社
各メーカーともに独自の技術を集積した安全装置を車両に装着していることがわかります。
名称がそれぞれ異なっていますが、基本となる考え方については各社とも共通した認識を持っています。
それは、路面状況や天候が悪い時に発生しやすい車両の不安定な挙動をいち早く察知し、手遅れになる前に対処するということです。
技術の進歩とともに、自動制御装置も日々進化を続けており、これからも事故を起こさせない安全技術の開発は進んでいくでしょう。
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ASR警告灯とは
ASR警告灯とは、メーターパネル内のASR表示灯が、橙色で表示されている状態のことを指します。
トラックのメーターパネル内には、多くの表示灯や警告灯がついています。
その中のひとつにASR表示灯があり、ASRが作動した際に点灯したり、異常があったりした時に知らせてくれるランプとなります。
ASRの表示灯は表示と警告の両方を兼ねており、ASRが作動した際の表示用として緑色、故障のおそれがある際の警告用として橙色を一般的には使用しています。
ASR警告灯が点灯する時
異常がない場合に、ASR機能付きトラックのASR警告灯として橙色が表示されるのは、大きく分けて2つのパターンがあります。
- エンジンを始動した直後から3秒程度
- ASR機能OFFスイッチを押してASR機能を解除している状態の時
上記のパターンはASRの異常ではないので、心配する必要はありません。
よくある例として、普段トラックに乗り慣れていない方が借りてきたトラックのASR警告灯が表示されていて焦った、という時は大体ASR機能を解除しているケースが多いです。
しかし、上記に当てはまらない時にASR警告灯が表示される時は、何らかのトラブルを抱えている場合があります。
もし、走行中にASR警告灯が表示された場合は、速やかに車両を安全な場所に停車し、販売会社、または整備会社に連絡しましょう。
また、警告灯が表示されているにもかかわらず、それを無視して車両を走らせるようなことは絶対にしないでください。
これはASR警告灯に限った話ではなく、全ての警告灯が点灯した時にも共通して言えることです。
ASR警告灯の消し方
エンジンを始動した後も、しばらくASR警告灯が点灯している場合はASR機能が解除されていないか、ASR機能OFFスイッチを確認してください。
何らかのトラブルによってASR警告灯が点灯した場合は、販売会社や整備会社に修理を依頼し、点検や修理を行うことでASR警告灯を消すことができます。
ちなみに、メーターパネルの警告灯が点灯した状態では、車検(車両継続検査)に合格することができませんので、車検までには直しておくことが大切です。
中古トラックの買取・販売ならステアリンクで!
ASR機能が付いた車両は、安全装置を積極的に開発し順次取り入れているメーカー各社と、事故を起こさないよう安全装置付きの車両を購入する運送会社が年々増えてきたこともあり、増加傾向にあります。
また、ASR機能のみならず、先進の安全装置を搭載した車両も近年多くなっています。
ステアリンクなら、ASR機能付の中古車両はもちろん、各社メーカーの中古トラックを豊富に取り扱っています。
ステアリンクは、日本全国の運送会社と直接取引を行っていることから、中間マージンが発生しないため、状態の良い中古車を、お値打ち価格で提供することが可能です。
また、店舗に在庫が無い車両でも、全国ネットワークを駆使し希望に合った車種を探すことができます。
問い合わせは、フリーダイヤル、FAX、またはホームページでも出来ますので、お気軽にお問合せください。
皆様からのお問い合わせを、心よりお待ちしております。
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