日本の物流に欠かすことができない大型トレーラーは、多くの荷物を運ぶために車体が長く、後輪にはたくさんのタイヤが付いています。
実はこの大型トレーラー、なんと後輪を浮かせて走ることができるのです。
これは故障している訳ではなく、後輪を浮かせているのは明確な理由と目的があるからです。
そこで今回は、なぜ大型トレーラーはタイヤを浮かせて走るのか、その機能や目的を解説するとともに、メリットや特徴についてご紹介します。
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目次
リフトアクスル機能とは
リフトアクスル機能とは、自動でタイヤを浮かせる機能のことを言います。
この機能が付いている装置を持つ大型トレーラーだけが、後輪タイヤを浮かせたり、接地させたりすることができます。
トレーラー等の超大型車が荷物を積んでいない状態、または積み荷が軽いときに限り、自動でタイヤを浮かせることによって、効率の良い走行が可能となります。
3軸リフトアクスルを例にすると、後後軸(車両の一番後ろの車軸)はタイヤにかかる重量が9,500kg以下になると、自動でタイヤが持ち上がる仕組みになっています。
アクスルとは自動車の「車軸」のことで、普通自動車は2軸、大型トラックは3軸、大型トレーラーは4軸以上と、一般的には車体サイズに比例して車軸が多くなる傾向にあります。
車軸(アクスル)を持ち上げる(リフト)ので、リフトアクスルと呼びます。
リフトアクスル機能の目的
大型トレーラーは、荷物を満載している状態と何も積載していない状態では、車両総重量が大きく異なります。
大型トレーラーに限らず、運送車両は荷物を積載した状態を基準とした車両設計を行っており、車軸の数も最大積載量に応じて増えていきます。
そのため、荷物を積載していない状態だとタイヤ1本当たりの接地圧が小さくなり、走行安定性が悪くなってしまいます。
そこで、リフトアクスルして接地する車軸の数を減らせば、タイヤ1本当たりの接地圧が大きくなるので、走行安定性が良くなり運転がしやすくなります。
また、後述しますが、運転コスト効率化を図るため、リフトアクスル機能付車両を積極的に導入している運送会社も多いです。
リフトアクスル機能の仕組み
リフトアクスル機能のタイヤを浮かせる仕組みの動力源は、大型トレーラーに装備しているコンプレッサーによるものです。
コンプレッサーに貯められた圧縮空気を用いることで、車軸のサスペンションを自在に上げ下げできるので、タイヤを接地させたり浮かせたりすることができます。
ドライバーが任意で操作を行うものではなく、後後軸の重量をセンサーが感知し自動で切り替わる仕組みとなっています。
リフトアクスル機能のメリット
走行安定性が良くなり、運転がしやすくなるメリットを持つリフトアクスル機能ですが、その他にも様々なメリットがあります。
また、メリットの大半はコスト削減に関することが多いのが特徴です。
高速代削減が可能
大型車両の高速道路の料金区分は車軸によって分かれており、3軸の車両は「大型車」、4軸以上の車両は「特大車」と分類されます。
仮に、4軸の車両が荷物を積載していない場合、リフトアクスル機能を利用して1軸減らすことができたとします。
その結果、高速道路の料金区分が「特大車」から「大型車」に変更することができ、同じ車両であるにもかかわらず、高速料金をおよそ4割程度安く済ませることができます。
また、ETCレーンには路面に車軸を計測するセンサーがあり、センサーの情報を基に料金区分を分類するので、ETC車載器を「牽引装置あり」に設定しておきましょう。
タイヤの摩耗具合が軽減する
タイヤが路面に接地していないので、当然ながらタイヤが摩耗することがありません。
また、タイヤが浮いているので減速時に使用するブレーキ部品の消耗を抑える効果もあります。
タイヤとブレーキの他にも足回り関係の部品が長持ちする結果となり、ランニングコスト削減に貢献します。
燃費向上が図れる
接地しているタイヤの本数が少なくなれば、それに伴って走行抵抗が減少するため、燃費が向上します。
その他にも、走行抵抗が減少するメリットとして、車両の回頭性が良くなり、カーブや交差点が曲がりやすくなるといった効果もあります。
※回頭性が良い車両ほど、ハンドルを切ったとき車両の向きを変えやすくなります。
路面への影響を軽減できる
接地しているタイヤの本数が少なくなると、タイヤ1本当たりにかかる重量が増え、接地圧が大きくなります。
接地圧を大きくすることで、特に高速道路で起きやすいハイドロプレーニング現象の影響を軽減することができます。
ハイドロプレーニング現象とは、タイヤと路面の間に水の膜ができ、ハンドルやブレーキなどが制御不能となることを言います。
つまり、タイヤと路面の間にできた水の膜をタイヤの接地圧で押し出すことができるので、路面への影響を軽減できるのです。
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リフトアクスル機能の注意点
メリットの多いリフトアクスル機能ですが、当然注意すべき点やデメリットもあります。
リフトアクスル機能の特性を理解し、注意すべき点をしっかりと頭にいれておきましょう。
法律違反で罰金・処罰の可能性がある
リフトアクスル機能は、センサーが重量を感知する自動制御システムですが、この機能が作動する条件を故意に変更したり、故障を放置した状態で道路や高速道路を走行することはできません。
もし行なった場合、以下の関係法令において法律違反による罰金・処罰の可能性があります。
リフトアクスルの不正利用をしないことはもちろん、しっかりと点検を行い適正利用に努めましょう。
■ 道路法第47条第1項、車両制限令第3条
この法律では、一般的制限値(最高限度)として、軸重10.0t、輪荷重5.0tを超える場合は通行許可が必要と記載されています。
全てのタイヤが接地していなければならない状態で、通行許可を取らずリフトアクスル機能を作動させて公道を走行した場合、この法律に抵触する可能性があります。
■ 道路整備特別措置法第26条
リフトアクスルを不正に利用して有料道路の料金区分をごまかした場合は、通行料金を不正に逸れた通行者とみなされます。
その場合、道路整備特別措置法第26条が適用され、逸れた通行料金と逸れた通行料の2倍に相当する額が徴収されることになります。
■ 道路整備特別措置法第59条
リフトアクスルを不正に利用して料金所を通過した場合は、有料道路管理者が指定する料金所の通行方法に違反して有料道路を通行したとみなされます。
この場合、道路整備特別措置法第59条が適用され、30万円以下の罰金が科せられます。
導入時お金がかかる
リフトアクスル機能付の車両は、機能なしの車両と比較して、価格がおよそ100万円程度割高になる傾向にあります。
高速料金の恩恵を受けることができれば、導入時の費用を回収することは十分可能ですが、逆に高速道路をあまり利用しない場合は、追加でかかった分の元が取れない可能性もあるでしょう。
また、荷下ろし先で別の荷物を積載するなどして、常にリフトアクスル機能を使えないほど積載量がある場合も、メリットが活かせないと言えます。
導入後のリスクとして、リフトアクスル装置の故障もあげられます。
センサー部分などはコンピューター制御されており、修理費用が高額になってしまうことが多いので気をつけましょう。
ブレーキが効きづらくなる
走行抵抗が減少して燃費が良くなる反面、摩擦抵抗が少なくなるのでブレーキが効きづらくなってしまいます。
このデメリットについては、余裕を持った車間距離を保ち、スピードを抑える安全運転に徹することで対策が可能です。
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リフトアクスル機能が付いた大型トレーラーは、走行安定性の向上や運転コスト効率化に取り組む運送会社が年々増えてきたこともあり、近年車両台数も増加傾向にあります。
新車では手の届かなかった価格でも、中古車であれば状態が良いものでも比較的安価で、お得に購入することが可能です。
ステアリンクなら、リフトアクスル機能付きトレーラーはもちろん、トラックも各社メーカーの中古車を豊富に取り扱っています。
ステアリンクは、日本全国の運送会社と直接取引を行っていることから、中間マージンが発生しないため、状態の良い中古車を、お値打ち価格で提供することが可能です。
また、店舗に在庫が無い車両でも全国ネットワークを駆使し、希望に合った車種を探すことができます。
問い合わせは、フリーダイヤル、FAX、またはホームページでも出来ますので、お気軽にお問合せください。
皆様からのお問い合わせを、心よりお待ちしております。
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