みなさんは、トレーラーにどのようなイメージをお持ちでしょうか。一口にトレーラーといっても、実は様々な種類があり、通常のトラックとは異なる特徴があります。
本記事では、トレーラーの種類や、それぞれのトレーラーの特徴をご紹介します。
トレーラーの寸法や積載量、トレーラーごとの運転時のポイントについても解説しますので、トレーラーの購入をご検討中の方は参考にしてください。
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目次
■トレーラー(被牽引車)のタイプ
最初に、トレーラーにはどのような種類があるのかをご紹介します。まず、トレーラーの代名詞ともいえるのが、主流であるフルトレーラーとセミトレーラーです。その他に、特殊な形状や用途を持つ「特例8車種」があります。
フルトレーラー
フルトレーラーは、運転席と荷台を備えているため、一見すると普通のトラックと外見は変わりません。トラックとの違いは、トレーラーを牽引するための連結器を備え、エンジン出力とブレーキ機構が異なる点です。
フルトレーラーには、ドリー式とセンターアスクル式の2種類があります。ドリー式は、前方にドリーという名の台車を備えた構造です。ドリーはターンテーブルのように回転して、牽引するトラクタを追従する動きをします。センターアスクル式は、トレーラーの中央部に2つの車軸がまとまった構造をしています。
フルトレーラーは、トレーラーを複数連結できるため、セミトレーラーよりも大量の物資輸送が可能です。
セミトレーラー
日本で走っているトレーラーの大半を占めるのがセミトレーラーです。セミトレーラーは、前輪を持たず自走ができないので、運転席とエンジンを搭載したトラクターと連結し牽引する必要があります。セミトラクターと連結するトラクターには、荷台スペースのない牽引専用車が用いられます。
牽引されることが前提のセミトラクターは、前輪がなく前荷重の大半をトラクターが支えるため、フルトレーラーと比べ制御が容易なのがメリットです。
前輪を持たないセミトレーラーは、補助輪やスタンドなどを伸ばして地面に接地させることで、自立が可能となります。
特例8車種
「特例8車種」は、運搬する物資の性質や特性によって様々な使い分けができます。
- コンテナ型:主に海上貨物コンテナと鉄道貨物コンテナの運搬に使われます。
- バン型:箱型タイプの汎用性の高いトレーラー。
- タンク型:液体や粉粒体の運搬を目的としたトレーラーです。
- 自動車運搬型:自動車の運搬に特化したトレーラーです。
- 幌型:骨組みに幌をかぶせたタイプ。アコーディオンのように伸縮が可能です。
- あおり型:平ボディトラックと同形状のトレーラーで、積荷はロープなどで固縛します。
- スタンション:荷台が平らで、原木や鋼材などの運搬に適しています。
- 船底:平らな荷台の中央部にくぼみがあるタイプ。積荷が安定する形状です。
■フルトレーラーとセミトレーラーの違い
トレーラーの主流であるフルトレーラーとセミトレーラーの違いを解説します。
2種のトレーラーは、構造や大きさが異なり、それに伴い運転方法にも違いが現れます。
構造が違う
フルトレーラーは、トラクターと荷台が一体となっているため自走が可能です。一方、セミトレーラーは単体では自走できず、運転席のあるトラクターと連結してはじめて物資の輸送が可能となります。
フルトレーラーは、トラクターだけで輸送車として機能する上、更に後ろにトレーラーを連結できるので、セミトレーラーよりも多くの輸送量を確保できます。しかし、複数のトレーラーを連結するため、電車のように長大になり運転の難易度が高いです。
フルトレーラーよりも、セミトレーラーの方が日本でポピュラーなのは、海外ほど道路が広くない日本の交通事情に適しているからでしょう。
運転方法が違う
フルトレーラーとセミトレーラーは、構造が異なるため運転方法にも違いがでます。全長が長いフルトレーラーは、セミトレーラー以上に後方確認が必要です。
連結箇所と連結数も異なるため、前進時はカーブのタイミングに注意すれば良いのですが、後進時はハンドル操作に違いが生じます。セミトレーラーと、フルトレーラーのドリー式、センターアスクル式の3つで操作方法が異なるので、詳しくは後述の「運転時のポイント」で解説します。
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■フルトレーラーの寸法・最大積載量
フルトレーラーの寸法は、連結した時の全長が18m以内、全幅2.5m以内、全高3.8m以内ですが、手続きを経て、特殊車両通行許可を取得すれば全長25mまで許容しています。これはドライバー不足に対応した規制緩和措置によるものです。ただし、大型免許と牽引免許を取得してから5年以上のドライバーに制限するなどの条件があります。
最大積載量は、「最大積載量=車両総重量-車両重量-(乗車定員×55kg)」の計算式で算出されており、車両ごとに車検証に記載されています。車両総重量とは、トレーラー自体の重量に積荷を足した重量で、車両重量は積荷を載せていない状態の車両の重量です。
■セミトレーラーの寸法・最大積載量
セミトレーラーの寸法は、全幅2.5m以内、全高3.8m以内で、高さと幅の基準はフルトレーラーと同じです。全長は16.5mまでと定められており、特殊車両通行許可を取得すれば最大で18mまで延長可能です。
セミトレーラーの最大積載量は、フルトレーラーと同様の計算式「最大積載量=車両総重量-車両重量-(乗車定員×55kg)」で算出されます。
セミトレーラーは、その汎用性から運搬できる積荷の種類が多いため、「バラ積み緩和」と「単体物許可」という緩和措置があります。木材や鋼材などに適用される「バラ積み緩和」は最大積載量28tのセミトレーラーであれば、36tまで積載が可能です。「単体物許可」は、電車車両などの分割できない大型のものを運搬する時に適用されます。
■フルトレーラーの運転のポイント
ドリー式のフルトレーラー、センターアスクル式のフルトレーラーを運転する時のポイントや注意点、コツを説明します。
ドリー式の場合
ドリー式は、連結部とドリーの回転部分の2ヶ所で屈曲するため、特に高度な運転技術を要します。特に、走行中に蛇行する「スネーキング現象」への注意が必要です。
スネーキング現象の原因は、スピードの出しすぎや、追い越し時に発生する風圧などの横風、タイヤの空気圧の問題などです。運転中に車体に不自然で不安定な揺れを感じたら、アクセルから足を離しスピードを落として、エンジンブレーキを利用することで揺れを制御しましょう。
センターアスクル式の場合
センターアスクル式は、連結部が1つでトレーラーの中央部にタイヤが集中しているので、セミトレーラーに近い感覚で運転ができます。フルトレーラーは全長が長く、普通のトラック以上に死角が多いので、後進時の運転は特に難しいです。自分の見える範囲の情報を的確に判断できるようにしておきましょう。
■セミトレーラーの運転のポイント
セミトレーラーは、フルトレーラーに比べると全長は短いですが、大型車で連結部が屈曲もすることに変わりはないので運転が難しいです。セミトレーラーで気をつけたいことに「ジャックナイフ現象」があります。
ジャックナイフ現象とは、急ブレーキや急ハンドルがきっかけで車輪がロックされ、連結部分がくの字に折れ曲がる現象です。操縦不能となり、車体をコントロールできず重大な事故につながるので大変危険です。トラクター側よりもトレーラー側が重くなりすぎる過積載もジャックナイフ現象の原因となるので注意しましょう。
■トレーラーに関することはステアリンクへ
トレーラーは、汎用性が高く大量輸送が可能な優れた車両です。ただし、高度な運転技術を要するため慎重な操作を心がけましょう。
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